2021年2月頃、私のTwitterのアカウントに対して、はあちゅうさんから発信者情報開示請求をされ、プロバイダ(イオンリテール)から意見照会書が届きました。
自分はまったく誹謗中傷していないという認識でしたし、客観的にみても誹謗中傷ではない、と思う人が多いのではないか、と判断したため、紹介所には「開示を拒否する」旨書き返送しました。
開示拒否の理由として、投稿の経緯を書き記し、満村弁護士のチェックを受けてからの返送です。
その後、5月ごろプロバイダ裁判を起こされ、先日9月1日「開示せよ」という判決が出されました。私の投稿は「はあちゅうさんを侮辱している」と法的に判断された、ということです。
この判決により、私は完全なる誹謗中傷の加害者ではあちゅうさんは完全なる誹謗中傷の被害者と思われても仕方がない状況になりました。
ただ、どのような投稿で開示判決を受けたのか、それをみなさんに知ってほしくてブログに書き残します。
これは、私の弁明にもなるかもしれませんが、誹謗中傷の抑止力にもなる記事だと思います。みなさんすぐに言いますよね「誹謗中傷はよくない」「法整備されるべきだ」。
しかし、自分を含めよく分かってないことが多いのではないか、と思っています。
発信者情報開示請求の難しさにくわえ、誹謗中傷問題について書きます。
- 発信者情報開示請求の対象となった投稿
- 裁判におけるプロバイダの反論
- 判決は「開示せよ」
- 結果が統一されていない
- 開示されると損害賠償請求で訴えられる可能性が出る
- 今後発信者情報情報開示請求の手段は簡略化される
- 誹謗中傷と意見論評とは
- 誹謗中傷で苦しむ人
発信者情報開示請求の対象となった投稿
プロバイダから届いた照会書では、対象となった投稿は2件ありましたが、プロバイダ裁判では1件に減っていました。その生き残った対象のツイートはこちらです。
ブーメランが身体中に刺さってるのに、歩みを止めないゾンビみたい。物の怪なんて可愛いもんじゃないな、もはや。 https://t.co/LrWTlNmqXL
— げす山げす美 (@kusogesumi) 2020年9月28日
この投稿には「はあちゅう」のはの字もありません。ただ引用元をたどると以下のような情報があります。
- はあちゅうさんがトイアンナさんへの訴状で「被告(トイアンナさん)は相当程度社会的影響力と発信力のあるライターであり、自らの発信に関しては、普通の一般人に比べて一層高い注意義務、調査義務が認められるべきということを前提に検討されなければならない。なぜならトイアンナには社会的影響力、発信力があり、それだけ一般読者は同被告の発言を信用して聞き入れ、かつ、伝播する可能性が高いことが想定される」と記載している
- 「情報を見極める力がない人が医療分野の発信に関わるのは危険」という投稿に対し、はあちゅうさんが「個人のSNSで自由に発言できないほうが危険」と返信している
と記載していることがわかります。
そこで、トイアンナさんへは慎重な発信を求める一方、自分は間違えた情報が流れると命の危険にまで及ぶ医療分野への発言の自由を求めることに対し、矛盾したものを感じました。
ちなみに、トイアンナさんへはこの訴訟の前に、内容証明にて該当投稿の削除と謝罪が行われていました。投稿の削除と謝罪をもってしても、まだ訴訟問題になってしまうのか、と非常に驚きもしましたね。歩みが止まらないのか、と。
また、その1週間ほど前にはなりますが、はあちゅうさんの代理人弁護士とはあちゅうさんが、批判的意見を言う人に対して、「物の怪」と揶揄するような発言をしていました。
物の怪...わかる...と思いながら「物の怪」をググってみたら、
— はあちゅう (@ha_chu) 2020年9月18日
「人間に憑いて苦しめたり、病気にさせたり、死に至らせたりするといわれる怨霊、死霊、生霊など霊のこと」
とあった。早くお祓いを終えたい。 https://t.co/GEiIyrg1Lg
もう削除されているのでスクショ等は掲載しませんが、はあちゅうさんは福永弁護士のツイートを引用しています。
そこには、「匿名の誹謗中傷者のなかには物の怪のような奴がいる」「対話は不可能だから報復して成仏させるしかない」といったような内容が書かれていました。
匿名の誹謗中傷者は、確かに社会的に許されるものではありません。
ただ、当時の福永弁護士は少々荒れておりまして、「クズ」「底辺」「カス」などと、不特定に対して実名の誹謗中傷者となっていました。詳細は以下
「ゴミ」「底辺」と連呼する日本一稼ぐ弁護士 - Togetter
はあちゅうさんも、不特定多数には何かと荒れたお言葉を使用することが多々ありました。はあちゅうさんもまた、不特定に対する実名の誹謗中傷者であったと、当時の自分は判断しています。
そのような状況のなか、なぜ偉そうに「物の怪」なんて言えるのだろうと、ずっとひっかかっておりましたので、ここでは敢えて「物の怪」という言葉を使用しました。
どう捉えるかは人によっても異なりまし、なぜ物の怪という言葉を使用したのかを明言してはいませんでしたが、
それでも「はあちゅうさんを直接罵倒していない」「根拠なく物の怪やゾンビなどの発言をしているわけではない」ということは、一般的な読み方としてできるのではないでしょうか?
裁判におけるプロバイダの反論
イオンリテールの弁護士先生は、かなりしっかりとした反論をしてくださいました。
詳細は以下の通りです。
山口三尊さんにはいつも助けられております。おもしろ裁判の紹介や、ためになる知識を配信しているので、ぜひ皆さんチャンネル登録を。
判決は「開示せよ」
判決は開示でした。つまり、私はまったくそのつもりはありませんでしたが、投稿は侮辱したと法的に認められた、ということです。
こうなってしまえば、もう何を言っても無駄です。自分がどんなつもりで投稿したか、何を思ったか、そんなこと関係なく「開示相当な投稿だった」ということです。
プロバイダ裁判では、被告がプロバイダであるイオンリテールです。
私は自分の個人情報が争われているにも関わらず、不服でも控訴できませんし、新たな反論もできません。黙って見ているだけです。
そのため、一審で「開示」となったらそれを受け入れなければなりません。
自分に関することが裁判となっているのに、自分が思うように抵抗できない、これが発信者情報開示請求です。
結果が統一されていない
ここでもうひとつ事実を記載します。
まったく同じ言葉を使用して事実を摘示している投稿でも、開示されるものと開示されないものがあります。
ブーメランが身体中に刺さってるのに、歩みを止めないゾンビみたい。物の怪なんて可愛いもんじゃないな、もはや。 https://t.co/LrWTlNmqXL
— げす山げす美 (@kusogesumi) 2020年9月28日
私の上記のような投稿をしましたが、同じ原告はあちゅうさんでも、「イキっている」、「ダサい」、「元から頭がパー」という投稿では非開示でした。
詳しくは以下をどうぞ。
分かりやすい話では、「〇〇詐欺」という事実を摘示する投稿も、同じ原告、同じような反論をなされても開示と非開示に分かれました。
裁判官も人間ですし、判断が分かれることは致し方ないとは思いますが、担当裁判官によって開示されるかどうかは変わるそうです。
自分が同じことをしていても、自分では決められない部分で結果が変わる、これが発信者情報開示請求です。
開示されると損害賠償請求で訴えられる可能性が出る
開示せよの判決は、原告に私の氏名と住所が伝わることになります。
そうなると原告は裁判を好きなときに起こせるようになります。私はどうにもできないため、訴状が来ることを待つのみです。
おそらく80~100万円ちかくの請求がされると思います。何もしなければそのような慰謝料を支払わなければなりません。
抵抗するとすると弁護士先生に依頼します。ここでは大体20万円ほどはかかるでしょうね。
開示せよの判決で、何十万単位の出費が確定されます。
今後発信者情報情報開示請求の手段は簡略化される
これから発信者情報開示請求の手段はより簡単になるそうです。訴えられる人の数は増えるでしょう。私は、誹謗中傷で苦しむ人のために発信者情報開示請求の簡略化は大いに賛成です。
ただ、誹謗中傷なんてやってはいけない、と分かっていた自分は発信者情報開示請求で開示となりました。
SNSの投稿においては、誹謗中傷はだめといったぼんやりした意識では裁判沙汰になる可能性があります。より一層投稿には注意すべきです。
これは誹謗中傷で苦しむ人を助けるだけではなく、投稿者のことも守ります。
誹謗中傷と意見論評とは
ただ、「誹謗中傷はだめ」という人のなかには、意見論評や批判ならよい、不特定多数になら何を言ってもよい、と思っている人もいますよね。
誹謗中傷の被害者だと自ら世間に訴えているはあちゅうさんもこうおっしゃられています。
そもそも不特定多数に対して「こういう人はバカです」って喋るのと、特定の個人に向けて「お前はバカ」って言うのは全く別のことなのに
— はあちゅう (@ha_chu) 2020年5月25日
(前者はただの表現。後者は誹謗中傷)
それすらわかってない人たちばかりでびびる。日本語能力?理解力?なんの問題なんだろう...。
「誹謗中傷」と「批判」の区別がついていない人が多いと思うんです。
— はあちゅう (@ha_chu) 2020年11月25日
自分の実名、顔写真つきで一生残っていい言葉なら、書く。そうでないなら、いったん飲み込む。
それが発言に責任を持つということだと思います。 pic.twitter.com/UB3Fu6AnLL
しかし、不特定多数への誹謗中傷は個人への誹謗中傷を生みますし、誹謗中傷と意見論評の違いなんて紙一重だと思います。
特に、厳罰化が進められるとされる侮辱罪は被害者のお気持ち一つで判断されますし、裁判官の判断によって結果が異る部分があります。
本当にさじ加減が難しいなか、誹謗中傷の取締りはどんどん強化してゆくようです。
誹謗中傷で苦しむ人
誹謗中傷かどうかの判断は難しく、誹謗中傷をしているつもりがなくても「誹謗中傷」している、と判断される可能性もあります。
しかし、「誹謗中傷で苦しみ命をたつ人がいる」これはなんとしてでも早急に解決しなければならない問題です。
例えばですが、痴漢冤罪がいるからって痴漢された人のケアを怠ることは絶対にいけないことだと思います。
発信者情報開示請求の開示される側の状況も知ってほしいですが、誹謗中傷で苦しむ人がいることも知っておかなければなりませんね。rememberhana.com
自分は加害者側でしたが(誹謗中傷したとは思っていませんが)、誹謗中傷問題に巻き込まれた当事者として、こういった活動もチェックしていこうと思っています。
自分で言うのもなんですが、誹謗中傷を抑止するためには、発信者情報情報開示請求されるとどうなるのか、開示請求対象になると自分でコントロールできない恐ろしさに巻きこまれること、などを伝えることも意義があると思ってます。
投稿の際には、デマを広めない、死を願うような投稿をしない、乱暴な言葉は使わない、といった基本的な誹謗中傷と捉えられる言葉のほかに、
- 攻撃性を徹底的に排除する
- 意見論評のつもりでも比喩表現は使わない
- 悪口ととらえられる単語は一切いれない
等気をつけてほしいと思います。
誹謗中傷で苦しむ人が一人でも減りますように。
そして発信者情報開示請求が減ることになりますように。
おしまい